当ページを読んで分かること
- マルチタイムフレーム分析の基本
- マルチタイムフレーム分析手順
- スイングトレードにおけるMTF分析の活用事例
- スキャルピングにおけるMTF分析の活用事例
- ひとつのチャートに複数の時間軸を表示させる方法
FX分析では、売買の期間に合わせて、見るチャートの時間軸を選ぶのが基本です。
・スキャルピングであれば1分足や5分足
・デイトレードであれば15分足や30分足
・スイングトレードであれば日足など
これらは忘れずにチェックするという方がほとんどでしょう。
ですが、相場の流れを把握するためには、異なる時間軸のチャートも見る必要があります。
いろいろな時間軸のチャートを見て分析を行うことは、マルチタイムフレーム分析(MTF)と呼ばれます。
今回はマルチタイムフレーム分析の基本から実践手順まで解説していきます。
マルチタイムフレーム分析の基本的な考え方

マルチタイムフレーム分析の基本的な考え方を一言で言い表すと、
「上位の時間軸を見ながら、下位の時間軸でタイミングを見計らってエントリーする」
というものです。
複数の時間軸を見ることで相場の流れが分かりやすくなる
マルチタイムフレーム分析の考え方によれば、デイトレードなどの短期売買であっても、日足などをチェックした方がよいということになります。
例えば、デイトレードを行うときに1時間足を見ると、下のチャートのように下落トレンドが続いているとしましょう。
このとき、1時間足だけを見ていると、どんな性質の下落なのか見えてきません。
一時的な調整なのか、長期的な下落相場の中の下落なのか、レンジ相場の中の下落なのか、下落の性質を知るためには上位の時間足を見て、全体の流れをチェックする必要があります。
そこで、今度は日足を見てみましょう。
黄色い四角で囲った枠が、先ほど確認した1時間足のチャート全体部分に該当する場所です。
これを見ると、1時間足で見た下落トレンドは、レンジ相場の中の下落であったことが分かります。
そのため、ボックス下限付近にて買いでエントリーすれば、利益を上げられる可能性が高まるというわけです。
エントリーポイントを1時間足でチェックしておくと、緑色の丸印のポイントが該当します。
ここはレンジのボックス下限に当たります。
さて、このように上位足を表示させることによって中長期的なトレンドが分かれば、それによってエントリーの狙い目をハッキリさせることができます。
1時間足で下落が見られたとき、どのような性質の下落である可能性が高いのか、日足と1時間足の関係から考えてみましょう。
日足 | 一時間足 | 下落の性質 |
上昇トレンド | 下落トレンド | 一時的な調整 |
レンジ相場 | 下落トレンド | レンジの中の下落 |
下落トレンド | 下落トレンド | 下落トレンド |
このように、より上位の時間軸をチェックすることで、下落トレンドの本質が見えてきます。
これによって、当然エントリーや決済ポイントといったトレード戦略も変わってきます。
マルチタイムフレーム分析の手順

基本的な考え方で、ある程度マルチタイムフレーム分析のメリットを分かってもらえたと思います。
ここまでの内容をおさらいしながら、手順をまとめておきましょう。
流れ1|上位足の流れでエントリー方向を決める
上位足のトレンドを表示することによって相場の大きな流れが分かります。短期的な波は中期的な波に飲み込まれることが多いため、上位足の流れに逆らわない方がよいでしょう。
流れ2|下位足でエントリーポイントを絞り込む
上位足で大きな相場の流れが分かったら、次に下位足をチェックしていきます。
顕微鏡を拡大するようなイメージを持ってもらうといいでしょう。
エントリーの方向は上位足で決定したので、今度はエントリーのタイミングは下位足の動きをチェックしながら行いましょう。
いろいろな時間軸の組み合わせでチャートを確認してみよう
下位足と上位足の組み合わせによって、スイングトレード、デイトレード、スキャルピングなど、様々な時間軸のトレード戦略を練っていくことが可能です。
日足&週足(スイングトレード)
スイングトレードでよく使われる組み合わせが日足と週足です。
まずドル円の日足を見ると、やや下落気味のレンジ相場のように見えます。
これだと、どちらの方向でエントリーを行えばよいのか分かりません。
そこで、より上位足の週足を表示させます。
すると、長期的には、明らかに下落の傾向があることが確認できます。
週足から、売りエントリーが有効と判断ができるはずです。
細かいエントリーポイントは日足の様子も見ながら、トレンドラインなどを目安にトレードすればOKです。
5分足&1時間足(スキャルピング)
今度は5分足でスキャルピングを行うことを考えてみましょう。
まず5分足を確認してみると、上昇傾向が見られることが分かります。
これだけ見ると、押し目を狙っていくイメージで買いエントリーを行えばOKということになりますが、上位足もチェックしておきましょう。
1時間足を表示させると、下落トレンドの最中にあることが分かります。下位足のトレンドは上位足のトレンドに飲み込まれる可能性が高いことから、基本的には売りでエントリーを行うことをおすすめします。
ただし、下位足(5分足)の流れに沿ってエントリーしやすければ、下位足のトレンド方向にエントリーしてもOKです。今回の場合は損切りを徹底することを前提に、買いでエントリーしても良いでしょう。
ひとつのチャートに複数の時間軸を表示させる方法について

チャートを切り替えるのが面倒くさいという方は、ひとつのチャートに複数の時間軸を表示させてもOKです。
MT4などであれば、ひとつの画面に複数のチャートを表示できますが、複数チャートを表示できない場合は移動平均線を利用しましょう。
下のチャートは15分足のローソク足ですが、5本の移動平均線に、1時間足の時間軸を加えてみましょう。
移動平均線は20期間を使用するとします。
15分足の20期間⇒20
1時間足の20期間⇒20×4※=80
※(60分÷15分=4)
15分足の移動平均線を4倍したものが、同じ20期間の1時間足の移動平均線となります。
これで、上位足の相場の流れをつかみながら、15分足でトレードを行うことができるようになるというわけです。
マルチタイムフレーム分析まとめ
時間軸を切り替えることによって、いろいろな視点から相場をチェックすることができます。
今回は2つの時間軸の使用して分析しましたが、3つの時間軸を使用して分析を行ってもOKです。
マルチタイムフレーム分析という考え方を頭に入れて、相場全体の流れを俯瞰できるようになりましょう。