当ページを読んで分かること
- ダウ理論の基本原則
- トレードでダウ理論を活用する方法
FXトレーダーのほとんどはテクニカル分析を使用しているように、過去の値動きのパターンから値動きを予測するテクニカル分析はトレードに欠かすことができません。
そのテクニカル分析の基礎にあるのがダウ理論です。
ダウ理論を理解すればFXはもちろん、株式や暗号資産(仮想通貨)など、すべての相場においてテクニカル分析を行うための考え方を身につけることができます。
この記事では、ダウ理論の根幹と言える6つの原則を解説していきます。
ダウ理論の基本原則6つ
ダウ理論には6つの基本原則が存在します。ひとつずつチェックしていきましょう。
基本原則1|価格はすべての事象を織り込んでいる
相場分析では「織り込み済み」という言葉がよく聞かれます。
まずはこの意味を考えてみましょう。相場価格は様々な要因で決まります。
株価であれば企業業績や景気の良し悪しが、投資家の売買行為に影響を与えて価格を動かします。
FXの場合は政策金利も影響し、さらに出現するチャートパターンなども投資家の判断に影響を与えます。
このように価格はありとあらゆる事象を織り込んだ結果であるのです。
最近の株価を見ると、新型コロナウィルスで実体経済が落ち込んでいるにもかかわらず、ナスダックが連日高値を更新するなど、非常に強い動きを見せています。
これはコロナショックから回復したときの経済状況が価格に織り込まれているからと考えられます。
つまり、日経平均株価にしてもNYダウの価格にしても、現在の株価はコロナショックから回復した後に待っている世界経済を「織り込み済み」だというわけです。
基本原則 2|トレンドは短期、中期、長期の3つに分類される
為替レートや株価のトレンドは短期、中期、長期に分類されるというものです。
時間軸ごとのトレンドは以下の通りです。
・短期トレンド 1時間~1か月程度
・中期トレンド 数週間~数か月程度
・長期トレンド 1年間以上
おおよそこのような分類を行うことができます。
株式トレードに比べて短期売買が行われる傾向にあるFXトレードでは、3つのトレンドのスパンをそれぞれ短くして相場分析を行ってもOKです。
FXの予測を行う際は、この3つの期間を意識して行われます。
期間ごとに分けて予測が行われるので、中期と長期の予測がともに上昇であったとしても、短期予測だけ下落の場合もあります。
基本原則2をトレードへ活かそうと思えば、押し目買いや戻り目売りを狙いましょう。
中長期的に上昇トレンドが発生しているときでも、短期的に下落トレンドが発生していれば、押し目を形成している可能性が十分にあります。
長いスパンと短いスパンを意識することで、トレンドの中の調整局面を上手くとらえることができるのです。
基本原則3|主要なトレンドは3つの段階から形成される
基本原則3つ目はトレンドの形成に関するものです。トレンドは3つの段階から形成されます。
第一段階 先行期
トレンドの第一段階に該当する先行期は、一部の投資家がトレンドの方向に向かってエントリーをし始めている段階です。この段階では主に機関投資家が仕掛けているものの、一般のトレーダーはまだ参加していないため、緩やかなトレンドになっています。
エントリーを行うベストなタイミングは第二段階の追随期です。
第二段階 追随期
追随期は先行期でのトレンド開始に気づいた多くの投資家がエントリーを行う段階です
。参加者が一気に増えるので、レートが大きく変化します。
第三段階 利食い期
第三段階の利食い気がトレンドの最終段階です。
大きなトレンドが発生した後、さらに市場参加者が増えてレートが変化しますが、この頃になると、初期にエントリーを行ったトレーダーが利食いを行うため、徐々にトレンドが終了に向かっていきます。
基本原則4|価格は相互に確認される必要がある
基本原則4は、異なる市場の価格は相互にチェックしておく必要があるというものです。
例えばユーロ円が上昇するときは、同じクロス円のポンド円も上昇する可能性が高いので、チェックしておくことが望ましいというものです。
FXでは基軸通貨ドルの指標であるドルインデックスがとても便利です。
ドルインデックスが上昇するときは、ドル円は上昇、ユーロドルは下落する可能性が高くなります。
株価同士や通貨ペア同士で確認することはもちろんですが、株価と通貨ペアのレートを相互にチェックすることも有効です。日経平均株価が上昇するとき、ドル円レートも上昇することも多くなるため、相互にチェックしておけば、予想が立てやすくなるでしょう。
基本原則5|トレンドは出来高でも確認されなければならない
基本原則5は、本格的なトレンドが発生するときは、出来高も大きくなるというものです。
これは、出来高を伴わないトレンドは、騙しである可能性が高いとも読み取れます。
トレードの基本的な手法として、レンジブレイクを狙うというものがありますが、実際にエントリーしてみるとダマしに遭うことが結構多いものです。
ダマしを防ぐためにも、出来高が伴っているのかしっかりチェックしておくことが大切です。
また、本格的なトレンドが発生している最中に、出来高が減少している場合にはトレンド終了に向かっていると判断できます。
しかし、FXの場合は世界中の出来高を正確に把握することはできません。
ですが、各証券会社が自社の顧客が保持しているポジションを算出している場合もあり、このデータを利用すればある程度の出来高を予測することができるでしょう。
例えばOANDAでは、OANDAグループ全体の顧客データが反映されているため、世界中のユーザーが保有しているポジションの状況をチェックすることができます。
基本原則6|トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する
基本原則の6は明確な転換シグナルが出るまではトレンドが継続するというものです。
上昇トレンドでは高値と安値を切り上げながらトレンドが形成されますが、高値が更新されなくなった段階でトレンドの終了と判断されます。
こうしたシグナルを利益確定ポイントやエントリーの目安にすれば、トレンドのサイクルをうまく利用したトレードが行いやすくなるでしょう。
転換シグナルの考え方は、移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロス、一目均衡表の三役好転や三役逆転にも通じるところがあります。
ダウ理論を活かすトレード戦略について
ダウ理論はどれもテクニカル分析の基礎的な考え方で、相場の中でトレンドをとらえることの重要性を教えてくれます。
6つの基本原則どれも重要なものですが、中でもFXトレードに直接活かすことのできるものは、基本原則2、基本原則3、基本原則6です。
もう一度、それぞれの基本原則をチェックしておきます。
・基本原則 2:トレンドは短期、中期、長期の3つに分類される
・基本原則3;主要なトレンドは3つの段階から形成される
・基本原則6;トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する
基本原則3からは、トレンドの第二段階、すなわち追随期でエントリーすることが最も望ましいとされています。
具体的なエントリーポイントはレンジを上抜けした追随期の初期(チャートの①)。加えて基本原則2より、短期的に下落しているポイントでの押し目(チャートの②)です。
さらに基本原則6は、明確な転換シグナルが出るまでは利益を確定せずに、利益を伸ばすべきであることを教えてくれます。
ダウ理論を意識すれば、相場で勝つためのセオリーである損小利大のトレードが自然とできるようになるでしょう。