FXの世界は非常に厳しい。めちゃめちゃ難易度が高い。
中にはラッキーで億を稼いで勝ち逃げする人はいますが、継続して勝ち続けられる人は圧倒的に少ないです。なぜだろう。
勉強や検証をせずに退場していく人はともかく、トレード日誌も書いた、テクニカルもちゃんと勉強した、チャートパターンも学んだ、世界経済についても日々知識を仕入れている、そんな人でも勝てません。
それどころか相場の世界にハマればハマるほど勝てるイメージが持てなくなりエントリーが怖くなる、結果絶好のチャートポイントに来ても色々な可能性を考えてしまい入れないということが普通に起こる世界。
この記事では、こんな人の処方箋になればと思いFXで勝ち続けるために必要となる「確率的思考」について考察していきたいと思います。
以前確率的思考について以下のようにツイートしました。
だから勝つためには膨大な検証作業(エッジが本当に存在するのか?)が必要なんです
また確率的思考を持つということは負けてもその手法を信じられるか?が大切。一回負けたからって他の手法を探していたら積み上げがない
変な有料商材に手を出しても中々勝てないのは手法を信じ続けられないから
— アル@社畜系FXトレーダー (@jun_the_victor) May 4, 2020
このツイートをさらに深堀していきます。
FXに聖杯はあるのか?
FXを始めたばかりの頃、カッコ良い名前がつけられている色々なインジケータを調べて興奮したことはありませんか?
- ボリンジャーバンド
- センターオフグラビティ
- RCI
- ストキャスティクス…
トレンド系のインジとオシレーター系のインジを組み合わせて騙しを回避すれば100%勝てる気がする!
それが初心者が陥る聖杯探しの罠です。
聖杯を探し続けてもそんなものはありません。聖杯を探し続けているうちは同じところで足踏みしている状態で、いつまでたっても勝てるようにはなりません。なぜか?
FX市場は巨大すぎて値が動く要因が多すぎるからです。つまり常に「例外」が起こる市場なので予測が不可能なのです。
為替を動かす要因
- 通貨の実需
- アルゴリズム
- 要人発言
- 地震などの突発イベント
- 株式価格
- 資源価格
- ミセスワタナベ
- テクニカル分析
この他にも要因はたくさん挙げられると思います。混沌の中で絶えずレートが動いている為替市場について多くの人が間違っているのは為替市場を攻略できると考えていることです。
テクニカル分析を勉強してもファンダメンタルに関する知識を取り入れても、全ての要因を把握してトレードすることは到底不可能であるため、完全に為替市場を攻略するなんてできっこないのです。
上がるか下がるかは誰にもわからないことを認める
FXを勉強すればするほど為替相場がどう動くかを精緻に当てられるという思い込みをしてしまうものですが、為替市場の本質は予測不能です。あまりに為替レートに与える変数が多すぎます。
上がるか下がるかを100%当てることはできません。
私たちはこの「当たり前のこと」を知識が深まると忘れがちになります。じゃあ結局FXはギャンブルなのか?いやそうではない。
明らかに上がる確率と下がる確率に偏りが出る箇所があります。
例えば、突発事象のニュースや要人発言などのイベントをテーマとして為替レートが動いていない場合には、テクニカル分析=大衆心理通りにレートが動きやすい。レジスタンスとして意識されていた場所がブレークされると今度はその値がサポートになる、いわゆるレジサポ転換した箇所で反発が起こります。
つまり「上がる確率>下がる確率」「上がる確率<下がる確率」となるポイントは確実に存在するというわけです。
FXの相場をコントロールすることは不可能ですが、確率に偏りがあるポイントで仕掛けることで優位性を獲得できます。
コントロールすべきは「自分」
FX相場は上がるか下がるかわからないが、それでも勝ち続けるために必要なのは「自分を律すること」、これに尽きます。相場の世界で唯一コントロール可能なものは、自分自身だけなのです。
例えば…
直近安値を割りそうなのでショートした。損切りは20pips、利確は20pipsと決めた。
しかしポジションを取った瞬間逆行し、すぐに当初決めた20pipsの損切りラインまできてしまった。いや、この急騰は全戻しパターンだ。もう少し様子を見てみよう。
全く下がってくるどころかグングン逆行していき50pipsも含み損を抱えてしまった。ついにメンタルが耐えきれなくなって損切りをした。
このように損切りをズルズル伸ばしてしまい退場した経験のある人もいるのではないでしょうか。何がダメだったのかというと逆行したことに対して「戻るだろう」と期待を持ってしまったことです。
最初に決めた損切りラインに到達してしまったということは自分の立てたシナリオは崩壊しているはず。なのに手を組んで戻ることを祈っている。結果として戻ってきたとしてもいつかは口座が吹っ飛びます。
何度も言うように相場はコントロールができません。だからこそ自分をコントロールすることが相場で生き残ることにつながるのです。自分の誤りを認め致命傷を負う前にやめる。これを徹底して初めて相場で稼ぎ続けられるスタートラインに立てるのです。
誤った損切りは「損切貧乏」になる
自分をコントロールし、きっちり損切りが出来るようになれば勝てるかというとそんな甘いものでもありません。
なぜなら「損切り貧乏」になる可能性があるからです。そうなると資産が減る曲線がなだらかになるだけで資産が増えていかないのです。損切りはきっちりできるけど稼げないという人がこれに当てはまります。
ここから一歩前進するにはどうしたら良いかというと先ほど話した「優位性」がキーワードになってきます。
おさらいすると「上がる確率と下がる確率に偏りがある場所で仕掛ける」これが優位性。FX手法はこの優位性を捉えるために必要なものです。
ただこの優位性を語る時に注意が必要なのは100%の優位性は存在しないことです。大体の優位性は勝つ確率が負ける確率より「少し高い」程度なのです。でも優位性のあるポイントを見つけることができれば、稼げるシッポを掴んだも同然です。
そしてここでようやく「確率的思考」が登場します。
カジノに学ぶFXで勝ち続ける確率的思考
例え見つけ出した優位性が僅かだったとしても、そこに確率的な思考を取り入れることで、将来に渡って利益を出し続けることが可能となります。
これを説明するのに分かりやすいのがカジノ。マカオの2019年の純利益は約5,500億円という巨大な利益を叩き出しています。
カジノは一見するとカジノ側vs客でお金を奪い合うギャンブルに見えますが、カジノを提供する側は優位性に基づいた「堅実な事業」ということがよく分かりますよね。
カジノの1戦1戦を見ていくと、一夜にしてカジノドリームを掴み億万長者になる人もいれば、勝っては負けてを繰り返し少しずつ資金を減らしていく人もいます。カジノ側と客側とで勝ち負けが分布しています。
短期目線で見れば勝ち負けが繰り返されているにも関わらず、長期目線で見ると「必ず」カジノ側が最終的な利益を残します。理由は単純で、カジノ側が設定しているルールに優位性が含まれているからに他なりません。ゲーム回数を重ねれば重ねるほど、その優位性が表面化していくのです。
とはいえ、いくらカジノに優位性があるといっても、お客さんが年間10人しか来なかったらカジノに利益が残るかどうかはかなり怪しくなります。たまたま連続して負けることはあるし、それを取り返す十分な試行回数がないからです。
優位性が僅かだと、少ない試行回数ではそれをうまく活かせません。
仮にカジノの優位性を1%とした場合、10回勝負した場合と100回勝負した場合でどのような結果になるかシミュレーションしてみます。
最初の10回は1%偏らせただけでは負けが込んでおり、100回で少し勝ちが優先している。500回試行すると明確な差となって優位性が出てきています。
ちなみに5%の優位性を持たせると、100回試行で58勝42敗、500回試行で292勝208敗と相当な差となります。
検証を重ねないと優位性に自信を持てない
期待値がプラスの売買ルールを自分なりに見つけたら、あとはその優位性を利益として引き出すために数を重ねること。これが重要です。
しかしながら、期待値がプラスのルールを持ちながらも勝ち続けられないトレーダーが一定数存在します。なぜかわかりますか?
そのルールを信じられないからです。
値を動かす要因が無数にある為替市場は非常に効率的で歪みが少なく、優位性はあっても数%が良いところ。その数%の優位性を実際の利益として現出させるには大数の法則に則って何度もトレードを行うしかありません。
しかし運が悪いとその手法を使い始めていきなり5連敗することもあります。リアルマネーを投入したトレードでいきなり5連敗したら、メンタルがぶれ、「この手法は稼げないんじゃないか?」と言う疑念が出てきます。
せっかく優位性がある手法だとしても有効性が消えたと思い、他の手法探しの旅に出る。あー最初に後戻り…。で、こうならないために最初にやっておくべきことが優位性の検証プロセスです。自分でその手法を何度も何度も繰り返し、優位性がどの程度あるかを体感として把握する。
自分で優位性があることを確かめられた手法は連敗しても安心して自信を持って使い続けることができます。
このプロセスをすっ飛ばして、ツイッターの有名アカウントの手法を真似して盲目的にトレードを繰り返しているからいつまでたっても自分の手法が確立できないんです。
最低でも100回、できれば500回は自分のルールに基づいたトレードを試行してその手法の優位性を確認しておきたいところ。併せて負けたトレードを分析すればその手法の弱点も把握できるから一石二鳥です。
FXにおける確率思考まとめ
FXで継続的に利益を出していこうというときに、とても大切となる「確率的思考」について僕の考えを伝えてきました。
まとめると…
- いくら探しても聖杯はない
- 為替市場は制御不能であり上がるか下がるかは予測できない
- 自分をコントロールして確率的思考に基づき仕掛けることが大事
- そのためには自分の手法の優位性に自信を持たなければならない
- 優位性を確認するためには膨大な検証作業が必要
これがこの記事で伝えたかったことです。
損切りはトータルで勝つための必要経費。いかに大きなダメージを負わずに優位性を現出できるかが勝ち続けるために必須の考え方だと思います。
特に「私ビビリでFX向きのメンタルじゃないんだよな…」と感じている人ほどこの考え方を自分の中に落とし込んでいただきたいです。