FXの売買記録をつけるべきか。あるいは別に付けなくても良いのか。エントリーを厳選し、トータルの収益がプラスになることを優先している僕としては、記録は将来勝ちたいなら絶対につけるべきだと考えている。
では、なぜ売買記録をつけるべきなのか?もちろん「真面目そうだから」なんていう理由ではない。そこには合理的な理由がちゃんと存在しているので、5つほど記録を書くべき理由をまとめてみました。
トレードで人間は負けるようにできている=記録をつけるべき
相場の世界では人間は面白いほど簡単に負けていきます。優位性の無い手法を持っていないというのも確かに説得力があるが、僕の考えでは手法があってもメンタルがなければ絶対に勝てない。
人間は本能的に相場で負けるようにできている。人間は痛みを恐れますし、心的ダメージを癒やそうと心の防御機構まで備わっている。本来は人間を守るためにあるはずの本能が、相場では予想以上に危険なものになる。
この厄介な人間の負ける性質。負けてしまう潜在意識を勝てるように改善していく(非活性化していく)には、トレード記録は非常に効果があります。
理由1. 客観的に「自分」を観察できる
トレードを始めてばかりの人は、目の前のトレードにある意味で夢中になっている状態といえる。商品先物から入った僕も、ひたすらチャートに食いついてロイターなどのニュースとにらめっこして、最終的には「直感的な」トレードをしていました。
一見すると真面目なアプローチをとっていて勝てそうだと思うだろう。残念ながら全く勝てませんでした。マグレで大きく勝つこともあったが、大抵はトータルで負けていました。なぜ負けてしまうのか。全てひとえにメンタルが腐っていたから。
- 負け始めると自分の意見を支持するニュースを探す
- 損切りのポイントに来ても難癖をつけて持ち続ける
- 大損失に見舞われたら「いや、これはどう考えても相場が悪い」と決めつける
- 勝てたら自分の実力だと考え、自画自賛する
- 負けたら運が悪かっただけだと考える
- 機会を逃すのが怖いのでエントリーする
- 他人の意見で負けたら、その人をディスる
- 他人の意見で勝てたら、自分の実力だと思い込む
- 利益が伸びるとトレンドが終わるかもしれないと恐れる
- 損失が伸びるとトレンドは転換するはずだと自信を持つ
だいたい10点ほど挙げてみました。これらは負けている人間にありがちな精神構造です。明らかに手法の問題ではない。どこからどう見ても本人のメンタルが腐っているから勝てないのです。
この負ける精神状態を客観的に見ることが出来るのが、トレードの記録だ。人間は特に負けたトレードに関してはほとんど学ばない。勝てたトレードも「自分の実力」という安直な結論で終えて、深掘りしない。
だからこそ、後から振り返って自分の行動に矛盾が無かったか、負けトレードから学べることはないか、このトレードは何故勝てたのか。これらを客観的に見るために記録が役に立つ。
客観的に見て自分の問題点を炙り出せたら、あとはその問題点を「矯正」していくのみ。僕の場合は非常に極端ですが以下のようになっていました。
- 人のせいにするくらいなら、もうニュースやツイートを見るのやめろ
- 口座崩壊の原因は損切りの先延ばしだった、今後は死ぬ気で損切りを守ろうと思う
- トレンドは発生したら、そう簡単には転換しない
- 逆説的に損失が伸びるトレンドは、その後も継続する可能性が高いから損切りを急ぐ
- エントリーのし過ぎで手数料コストが大きいのでエントリーを厳選する
ニュースを見るのをやめて、ツイートも見ないようにしました。責任逃れが出来ないようにしたんですよ。すべての選択の結果は自分の責任である。これを徹底しました。
トレードで負けているのは自分のせい、利益が出ているのは自分の実力ではなく運が良かっただけかもしれない、口座を飛ばしたくないなら損切りを守る、守らなくて口座を飛ばしたのは自分の責任。相場に関するすべての行動が自分の責任です。
これくらい徹底していかないと、人間の負ける潜在意識って改善されません。しかも、すぐに結果が出るわけではないので最初はかなり苦痛です。
「誰か、金は買ったほうが良いのか教えてくれ・・。いや、誰もアテにしないって決めたんだ・・。」このように、ある意味で禁断症状が最初のうちは発症していました。こんなメンタル状態の人間が相場で勝てるわけがない。
だから矯正が必要なんです。勝つためには間違いなくメンタルの矯正が必要だ。日頃の適切な行動の積み重ねで、潜在意識を矯正して考え方や思想(つまりメンタル状態)をプラス方向に変えていく必要がる。
これを行っていくために記録は役に立つ。後から見ると、自分の稚拙さや幼稚さに吐き気がするだろう。3年前の僕を振り返ると、本当にひどかったと思う。
ということで、第一の理由は自分を客観的に観察して、修正点を見つけてそれらを矯正していくために記録が役に立つということです。記録を使って心理的弱点は必ず克服しておくべきだ。
理由2. 自分のトレードのクセが「見える」
記録をつけることで自分を客観視でき、メンタルの改善に繋がるのと似ている話ですが、これは数値ベースで自分のトレードの課題が明確に分かるという意味です。
実例として僕が過去に崩壊させた10つのデモトレード口座と、2つのリアル口座から負け組だった頃のクセ(悪癖)を数値で出すと、リスクリワードレシオが妙に良いのに勝率が異様に低いということが判明しました。
- 利確49pips、損切り18pips
- 買い勝率8%、売り勝率22%
- トータルで見事に負けている
このような傾向が判明したんですね。特にロングの精度の悪さはすさまじく、明らかに改善しなければならないことが分かる。数値として自分のトレードの傾向を出せば、修正すべき点が分かりやすいのです。
つまり利益が乗ったら利確を伸ばすのは上手いが、そのような利益が伸びる機会を掴む能力は致命的だったということだ。どこもかしこもエントリーのチャンスに見えてしまい、片っ端からエントリーしている。
その結果として、伸びる時には伸ばすから利確は大きくなり、負ける時はアッサリと撤退しているが、その回数が多すぎるために勝率が大きく低下し、トータルで勝てなくなっている。
トレードの最中では自分のトレードの「クセ」なんて簡単には認知できませんが、こうしてデータを集めて統計をとってしまえば簡単に明らかになる。
→ 勝ち組トレーダーとは、期待値をプラスにすることを深く思考する人間
なお、この記事ではトレード記録から自分の理想とするトレーダー像を詳細に浮き彫りにする方法や、リスクリワードレシオと言った基本的なことについて解説しています。併読すると、この理由2の意味が更に理解できる。
理由3. 勝てる局面を明確にできる
記録をつけ続けると、自然と自分が勝てる局面が出てきたり、どのようなエントリーが利確に繋がりやすいのかといった優位性に気づけるチャンスを得られる。
そのような情報はインターネットで検索して見つかるようなものでは無いことも多い。トレードで勝つために自分なりのエッジ(優位性)は非常に重要なものになる。
トレードの最中では利確と損切りの連続で、何が優位性なのか、いまいちハッキリしないが記録をつけることで、ぼんやりとしていた優位性を浮き彫りにし、その優位性を尖らせることで一気に勝てる確率が上がるだろう。
記録をつけて、勝てるパターンがぼんやりとつかめると、エントリーをする前に妙な違和感を感じたり、この値動きは取れる確率が高いと感じたり出来るようになる(可能であれば、なぜそうなるのかを考える)。
才能のある人間はただトレードをするだけで、リアルタイムに自分の弱点を修正し、勝てる局面をあっさりと抽出しますが、そんなのは僕のような凡人には到底真似できるものではない。記録をつけて、客観的に、統計的に見ないとほとんど見えてこないんですよ。
自分なりに見つけ出した勝てるポイントは、意外にも他人から見ると「なぜそこでエントリーするの?」と思われるポイントであることが多い。ということは、収益源が残っている可能性が高く、将来に渡って優位性になりうる可能性も高い。
記録をつけ続けていれば、勝てるポイントが見つかるという機会があるので、記録はつけるべきだろう。
理由4. 勝ち組は負け組の売買記録が欲しい
OANDAというブローカーは顧客の売買情報を統計的に分析してトレードの参考にしているという話を聞いたことがある。トレードで勝つには、大多数とは反対の方向にポジションを取ることを意味する。
大多数とは、つまり負け組のことです。負け組の戦略が分かれば、あとは反対のポジションを取れば勝てるわけですから。他人の手法に興味はなくても、他人の記録に興味があるというトレーダーもいる。
負け組ほど記録をつけるべきなのは、自分の行動の反対を行く人達が勝ち組になり得るから。負け組の頃の売買記録は、まるまる負け組の行動パターンや心理的な弱点であり、それらを突くことで相場で勝てる可能性が上がる。
勝ち組は負け組の心理的な苦痛や葛藤をよく理解しており、そこから生まれるポジションの偏りにも注意深い。アメリカには負け組の日誌を実際に購入しているトレーダーもいるそうだ。
記録をつけるということは、それだけ価値がある行動だ。僕自身も記録をつけたことで、なぜ負けるのか、どういう局面で負けるのかを理解して、確率の高い場面でのみトレードをするようになった。
理由5. 学習効率が高い
人間は1週間前のトレードの内容をおそらくさほど覚えていない。受験勉強をやっていて誰もが感じたであろう疑問が「なんでここやったのに忘れているんだろう。やったのに忘れるのは腹立たしい。」といった事だろう。
やったことを忘れてしまって次に活かせないと、人間はそれなりにフラストレーションを感じているはずなんですよ。それが嫌になって勉強嫌いになって落ちこぼれになるような子供も本当に多いですし。
なのに、なぜ。FXやトレードとなるとこの点を気にしない人が多いのか。不思議です。
負けトレードがあったとします。そして、再び同じような負けトレードをします。勉強に言い換えれば、一度やって間違えた数学の問題と全く同じ問題が出て、また同じ間違えを犯したのと似ています。
普通は前にもやった問題なのに、また間違えやがって腹立たしいと思うところですが、トレードだと前と同じパターンで同じ間違いを犯した・・腹立たしい。と考える人は少ないんですよ。
理由は単純で、人間は記録しないと自分のトレードの内容を細かく覚えていないからだ。覚えていないから、同じミスでも同じ間違いだとは気づきづらい。だから同じ間違いを犯しても腹が立つことも無い。
これはすごく無駄で、不毛な行動だ。経験値が一向にたまらない。ざるで水をすくっているような行為です。負け組にはあらゆるトレードに何かしらの学びを得る必要があるのに、ほとんどの人がそれをしない。
トレードの内容をすべて詳細に記憶することは出来ないから、記録をつけて後から振り返って見ることが出来るようにしておけば、おのずと犯しやすい間違いが判明するのに、それをせずに何度も同じミスを繰り返す人で溢れている。
→ たったひとつの工夫で圧倒的にFXの学習効率を上げる勉強法
この記事でも書いたが、アウトプットをしない人間はトレードで勝てるようになるのに非常に時間が掛かる。ただインプットしただけでは1割程度の学習効率に過ぎない。
自分でしみじみと理解して、更に人に分かりやすいように文章化することで更に学習効率は高まる。勝っているトレーダーは、負けトレード1つとっても、そこから学んでいる情報量が負け組とは5~10倍は違う。
普通の人が損切りをすると・・。
- 負けた。イライラするが、この方向で間違いないはずなんだ。
こんなところでしょう。ひどい人だと損切りになったのはたまたまだと考える。逆に勝つ可能性が高い人だと・・。
- 準備は万端だったか
- そもそもエントリーするべきだったのか
- 優位性を認知してからエントリーしたのか
- 連勝していたから気持ちが浮ついていたのか
- 相場を一方向から見過ぎだったのでは
- スマートフォンからエントリーしたのはまずかったのでは
- 機会は再度来るのに、なぜこの瞬間にこだわった?
- 勝てる機会は少ないのに、無理にエントリーしようとした
- 期待だけでトレードしていないか
- 都合のいい方向に心を修正しようとしなかったか
これくらいは考えていましね。今でこそ、エントリーを厳選するようになったから損切りに追い込まれることは少なくなったが、負け組だった頃はエントリーしてから反転することも多く同じミスをするたびに「機会はそんなに無いぞ?」と言い聞かせていた。
土日になれば週の成績をまとめて改善点を書き出し、改善に必要だと感じた知識やアプローチを学ぶために書籍を読んでいました。そして出した結論をメモ帳やLINEのタイムラインに文章化していましたね。
もちろん、週に1回やってみるだけではほとんど効果はありませんが継続的に何ヶ月も毎週毎週やり続けることで、じわじわと相場に対する自分のスタンスは改善されていきました。例えば「機会はそんなに無いが、機会は常に訪れている。焦ることはない。」などです。
最近は1日のうちに3回以上エントリーしただけで自分を疑うようになっています。「エントリーが多くないか。優位性を見積もり違っている可能性がある。」「今日は十分にpipsを取れている。血なまこになって絞り取る必要はないだろう。」と言った感じだ。
FXのトレード記録をつける意味
最たる目的は自分の客観視だ。これがもっとも重要だと考えている。自分を客観視することで、自分の欠点と長所を抽出し、欠点を改善あるいは非活性化し、長所を更に伸ばして尖らせる。これの繰り返しで確実にトレードの成績は改善するはずだ。
トレードの内容だけでなく、自分自身の日ごろの行動も客観視出来るようになる。矛盾した行動を改善したり、合理的な行動を心がけたり。そうした積み重ねが相場で負ける精神構造を非活性化し、自ずと勝てるようになる。
精神論に聞こえるかもしれないが、記録をつけ続けることで確実に得られるものがある。自分の行動から得た情報(インプット)を元に、改善点を自分なりに考えて結論を出したら文章化(アウトプット)することで、更にメンタルの改善に拍車がかかる。
例えば、今こうして僕もブログを書いているが、アウトプットの効率は非常に高いと実感している。自分で考えて人に説明するように文章化する過程で、自然と自分の心に落とし込める。一度ストンと落とし込んだことは、そう簡単に錆びることはない。
普通の負け組トレーダーが何度も同じミスを延々と繰り返すのとは対照的に、記録をつけてそこから常に学びを得ているトレーダーは、確実に同じミスをしなくなり無駄なエントリーを選別するようになる。
記録をつけ続けることで「優位性」が見つからなくても、それは問題ではない。FXの世界で長生きするには「勝つにはどうすればいいかを考えるよりも、負けないにはどうしたら良いか」を考えたほうが効率が良い。負けなければ、運良くたまたま勝っただけでも利益が残る。
記録から自分の悪癖をあぶり出し、そこから負けないことに徹するようにすれば自ずと利益が残る。少なくとも、プラスマイナスゼロくらいには簡単に持ち込めるだろう。成功が少なくても、ミスが更に少なければ利益が残るのは当然の論理だ。
ぜひ、負け組トレーダーで今まで記録をつけてこなかった人は、記録をつけるようにしたい。メモ帳でもいいし、無料ブログでも良いと思います。
では、自分の客観視のためにトレードの記録をつけることが重要だという結論になったが、実際にはどのような書き方をすれば良いのか。
FXのトレード日誌に書くべきことについて、僕なりの考えを6つにまとめて紹介しておく。ついでに実例の1つとして僕が実際に書いていたトレード日誌も掲載します。
負け組の頃に書いていた手書きのトレード日誌
最初から書いていたわけではなく、とあるきっかけで業者の売買記録をシート形式でダウンロードして、統計的に自分の売買の記録を見る機会があったんです。その時に、利確と損切りのバランスの悪さに気づいて、記録の重要性に気がつきました。
この経験から自分の手で日誌と記録をつけるようになり、その結果出来上がっていたのが以下のノートです。
商品先物から相場の世界に入りました。当時はまだ高校生でしたので、字の汚さや内容の甘さには目をつむって欲しい。(今も文字は汚いが)
「EUの金融緩和が来るかどうかに注目」などと言った見方はアナリスト的だ。今となっては金融政策や指標の予測がマーケット自体の「織り込み機能」で行われていることを知っている。
しかし、テクニカル的な情報だけでなく、他のマーケットやファンダメンタル分析のような見方が入っていて興味深い。ただトレードの記録や日誌としては微妙な出来で、まだアプローチの仕方が分かっていないのがよく分かる。
ブログ形式のFX日記ブログ
紙にボールペンで書く方法は、書き込める情報量に限界があるように感じたため、その後は無料ブログに場所を変えて記録を書いていました。
ちなみに画像はそのブログではなく、今回の記事のために用意したサンプルです。直近のドル円のショートエントリーについて日誌に書き留めている。高校の頃の手書き日誌がまるでアナリスト風の内容だったのに対して、2年目くらいからは根拠や論理を書くように変わった。
FX日誌に書き留めるべき項目
では、トレード日誌を書くべきことをまとめていく。なお、最初に載せた手書きのトレード日誌は悪い手本ですので、あまり参考にしないでください。
なぜエントリーしたのか
エントリーの根拠は絶対に日誌に書くべきことです。自分がなぜ、そのレートや状況でエントリーしたのか、理由をしっかりと文章化すること。もし、その理由を文章化出来ないのであれば漠然とトレードをしていることになる。
トレードをする前にしっかりとエントリーをするに至った理由や戦略を考えておくこと。漠然とした行き当たりばったりな「なんとなくエントリー」は必ず破滅を導く。戦略のないトレードは無謀でしか無い。
そして、エントリーした理由や根拠だけでなく、エントリーを行った時の自分のメンタル状況も書き込むと更にいい。
「移動平均を一気に抜ける急激な値動きだったが、動揺せずに、焦らずに、落ちてくる局面をじっくりと待てた。ここで無ければ優位性は無いと理解していたし、じっくりと待ってからのエントリーだったので、ナイスなエントリーだったと思う。」
損切りの判断の成否とメンタル状況
エントリーをすると、その後に必ず損切りあるいは利確が訪れる。ここでは特に嫌いな人が多い損切りの書き方について。
まず、損切りが予定通りに実行できたのかどうかを評価します。そして、もしこの時点で日誌に書けるほどの損切りのルールが無かったと気づいたら、可及的速やかに損切りのルールを作るべきです。
で、損切りが予定通りに実行できたのであれば、その後の値動きにかかわらずとりあえずは評価します。逆に予定通りの損切りが出来なかった場合は、なぜ出来なかったのかをしっかりと文章化しておく。
損切りの先延ばしほど恐ろしい物はない。損切りが出来なかった理由は必ず突き詰めておいたほうが良い。理由を突き詰めたら、どのようにして問題を解決するのか、解決策を考えて書き留めておく。
解決策が出来上がったら、今後のトレードに反映させていくだけです。損切りはトレードで生き残るために必須のスキルであるため、これくらいはやっておかないとマズイんですよ、本当に。
- 損切りが計画通りに進んだか
- 損切りを評価
- 計画通りに進まなかった損切りは原因を究明
- 原因に対して対処法を建てる
- 次の損切りは必ず成功させる
常に損切りを計画通りに実行できるようになれば、かなり道が開けてきたと言える。
利確に問題や課題はないか
利確は損切りと比べると重要性は落ちるが、やはり大事です。日誌に書き留めることは損切りとほぼ同じです。計画通りに利確が進んだのか、利確が予定のラインに向かっている間に心理的な問題は無かったか。
ポジションに利益が乗ってすぐに決済する人は負け組に多い。いわゆるプロスペクト理論が影響している。もし、ポジションに利益が乗ってくると心理的な負担を感じると思う人は、トレード日誌にそのことを書き留めておいて欲しい。
人間はそもそもマーケットで生き残れるように出来ていません。が、現実に勝ち組は存在します。勝ち組は負け組が克服できていない心理的な課題を全てクリアしているのです。
ポジションに利が乗って落ち着かなくなり、足速に決済したくなる心理はまさしくプロスペクト理論の影響であり、勝ち組になるにはこの心理的課題をクリアする必要がある。
日誌に、どのようなメンタル状況だったかをしっかりと書き留めて、その都度対処法を考えて、それも書き留める。そして次の利確では少しでもそういった課題をクリアできるように備えることが重要。
なお、プロスペクト理論についてはこちらの記事で詳しく検証しているので知らない人は一読を。
トレードの感想とメンタル状態
トレード全体の評価を行います。エントリーから、ポジションの保有、そして決済までの一連の流れすべてを評価した、まとめ的な感想を書き留めます。
その時の率直な感想と、トレードが進行している間のメンタル状況も克明に書き留めておきたい。これは後から確実に役立ってくる。例えば、負けているトレードに共通している特徴(メンタル状況)を抽出出来ることがあるので余計なトレードを減らすヒントになる。
客観的な評価を行う
この客観的な評価は、そのトレードを行った直後にすることは難しいと思う。可能なら行ってもいいが、自分を客観視する心が無い状態では不可能なので最初のうちはやらなくてもいいだろう。
日誌を書き続けると、だんだんと自分を客観視出来るようになれば、自ずとトレードの客観的な評価もできるようになる。
あの時、あの環境下でこのメンタル状態はマズイだろうと、事後的にでも思えるようになる。これは非常に重要な観点である。
なぜなら、自分のトレードを後から振り返って「下手くそだ。」と認識できるということは、当時の日誌を書いた自分と比べて間違いなく、今の自分は成長しているということになるからだ。
自分のトレードに客観的な評価を下せる。これこそ、自分自身が成長した瞬間だろう。ここに喜びを見いだせることが出来れば、さらに成長速度は増し、勝ち組への距離は一気に縮まるようになる。もやもやとしていた霧が一気に晴れていくような感覚だ。
客観的視野から心と売買ルールの最適化を行う
日誌や記録を書き続けて、過去の自分のトレードに対して客観的な評価が出来るようになった時、自分のトレードの何が問題なのかを知ることが出来るようになる。
こうなった時、あとはトレーダーの努力と実力は着実に比例するようになると考えている。例えば損切りに関して、ある初心者は「損切りは何pipsがちょうどいいですか?」と考えるのに対して、自分のトレードを評価できる人間は。
「損切りに問題は無かったが、エントリーが悪かった。リスクの見極めと許容リスクが一致していない局面でのエントリーだった。もっと確度の高いエントリーを行うにはどうすれば良いのだろうか?」と考えたりする。
結果的に、それでエントリーを極限まで厳選するという選択をしたら、おそらく最初は心理的な抵抗を感じるだろう。それらを書き留めて、なぜエントリーを極限まで選ぶことに抵抗を感じるのかを日誌から客観的に見ていく。
- 取り逃す値動きが多い
- 複数の通貨ペアで取引する余裕が無い
- 期待値が先行して抑えるのが苦しい
その結果、3つの理由が浮かび上がった。では、この理由にどのような問題があるのだろうか。エントリーを極限まで厳選するという選択をしたのは割と最近のことだが、選択をした時点では「勿体無い」という気持ちが強かった。
それからトレードを繰り返し、インプットとアウトプットを繰り返してフィードバックを行った結果、最も重視すべきポイントはトータルで利益を挙げることだと言うところに帰ってきた。
取り逃す動きが多いと言いながら実際には取ろうとして火傷を負っているトレードが多いという現実や、やはり確度の低いエントリーを行っている現実が浮き彫りになった。これらの課題を解決するには、やはりエントリーの厳選は間違っていないと確信するに至った。
受け入れがたかった考え方も、浮き上がった問題点を解決することで期待値がプラスになるのなら、自分の心をその思想や手法に最適化させるべきだと考えれば受け入れられるようになる。少し分かりづらいな。
- 自分のトレードを客観的に評価できる
- だから修正するべき「問題点」が分かる
- その解決策が受け入れがたいものであっても
- 期待値がプラスになるのなら、心をその解決策に最適化させる
- 新たな思想を受け入れることに成功したら技術が向上する
こういうことを言いたいんです。
このブログでは以前から損切り20pipsルールを紹介してるが、このルールには期待値をプラスにする効果は統計的に確認されていないし、テキトーな設定です。それでも僕がこのルールを損切りに採用していたのは、あまりにもエントリーがいい加減だからです。
いい加減なエントリーをすれば、かなりの確率で損切りが実行されます。つまり、無駄なエントリーが頻発する損切り設定だ。逆説的に損切りが20pips以内で済むような局面だけを狙ってトレードすれば問題はないんですね。
最初の間は非常に受け入れがたかった。とにかくフラストレーションがたまる。20pipsで損切りせずに持ち続けていれば伸びていた局面は本当に多かった。でも、それってエントリーを厳選していれば結局は取れるわけで。
エントリーを極限まで厳選するアプローチは最近になって導入し、だんだんと心が馴染んできたところです。ここ1ヶ月のトレードは利確27pips、損切り14pipsとなり、損切りと利確がともに縮小しているが、勝率は向上し着実に利益だけを絞ることが出来ているので問題はない。
以上が日誌の書き方と、その目的と使い方でした。売買ルールの最適化だけでなく、心の最適化も大事だと思います。そして、その方法に日誌はそこそこ優秀です。