社会人専門講座「生きものを育む農業を考える」を実施しました(2016.11.21,11.28)

COC事業の一環として2014年2月に設立した「近江地域学会」では地域課題ごとに取組みを行う研究会が活動しています。「生きもの豊かな農村づくり研究会」では、滋賀県の生きものを育む農業のあり方について課題整理や議論、提案を行うことを目的に研究会の開催や学内等を対象とした情報発信による啓発活動に取り組んでいます。

このたび本学が行う「平成28年度滋賀県立大学社会人専門講座」に連携し「生きものを育む農業を考える」をテーマに3回の講座を行いました。

テーマ:「生きものを育む農業を考える」

日 時:
2016年11月21日(月)3時限目(13:10~14:40)・4時限目(14:50~16:20)
2016年11月28日(月)4時限目(14:50~16:20)

講座日程・演題・講師:
◇第1回講座 11月21日(月曜日) 3時限目(13:10~14:40)
 「田んぼが育む生物多様性」環境科学部生物資源管理学科 皆川明子助教
◇第2回講座 11月21日(月曜日) 4時限目(14:50~16:20)
 「田んぼの生きものを守る小さな取り組み」環境科学部生物資源管理学科 皆川明子助教
◇第3回講座 11月28日(月曜日)4時限目(14:50~16:20)
 「生きものがお手伝い」環境科学部生物資源管理学科 増田佳昭教授
 【ゲスト講師】喜多酒造(株)代表取締役社長 喜多良道 氏

参加者:12名

開講にあたり、本学事務局次長 木村から挨拶を行いました。今回の講義では、本研究会のテーマでもある「生きものを育む農業」について、技術的な部分も含めて講義を行いました。次長からは、農業に関する幅広い知識とともに、講義を通して専門的な広い視点をえてもらいたい、と期待をお伝えしました。

第1回講座は「田んぼが育む生物多様性」として皆川明子助教が行いました。
唱歌「春の小川」の歌詞にある風景から、農村の光景を想像し、かつての農村景観を作り出した環境について解説しました。
特に、水田での魚の繁殖についても紹介し、中国で世界農業遺産に選ばれている「稲田養魚」についても紹介しました。
水田の環境に適応した生物が生き残って作り上げている生態系が農業の暦によって同影響を受けるかなど、グラフなどを示しながらお話し、生きものを育む農業についての導入を行いました。

続けて行われた第2回講座では「田んぼの生きものを小さな取り組み」として、実験を交えた機会となりました。
まず整備によって変化した水田環境を紹介。これまで水田や水路で生活してきた生物が生き残れなくなってきたことをデータを交えて解説しました。さらに、各地で取り組まれている水田魚道や水路の脱出工を例に生きものを残すための工夫を紹介し、手法に辿り着くまでの実験とその結果についても紹介しました。
これらをもとに、別室にて皆川研究室の学生などの支援のもと、実験を行いました。

1つめは「メダカはどのぐらいの流速を泳ぐことができるか」2つめは「カメはどこまでの落差を乗り越えられるか」でした。メダカを使った実験では、水量で流速を変え、水草など水流を遮るものがある場合とない場合などを比較しました。カメの実験では、傾斜の違いの検証ともに、カメが登っていける素材についても合わせて実験を行いました。
また、滋賀県よりお借りした「魚のゆりかご水田」の水田魚道の模型でもメダカを使って遡上実験を行いました。
いずれの実験も、少し条件を変えただけで生物の反応がまったく異なり、受講生が観察していてもすぐに変化を理解できました。どのような条件であれば生きものが残りやすい環境が作れるか、工夫や検証方法を合わせて具体的に学ぶことができた機会となりました。

 

第3回講座では、テーマを「生きものがお手伝い」とし、環境や生きものを守る農法で作られた農産物のブランド化や、それらを使った六次産業商品について紹介し、農法による商品の付加価値を学びました。
この回では増田佳昭教授が登壇し、滋賀県で取り組まれている「環境こだわり農法」などを取り上げ、環境を守る農法・農産物について紹介しました。
また農法と共にそれらの農産物の「付加価値」に着目、品質と価格、安全性が購買者(消費者)にどのように受入れられ購買につながるかを商品購買価格の分析などを例にして解説しました。

さらに、ゲスト講師として喜多酒造株式会社 喜多良道社長にもお越しいただき、喜多酒造で取り組まれている商品の中でも地域の景観保全の活動による「権座」の取組などを紹介していただきました。環境配慮のお米が使われていることや、商品を通して地域保全の活動が盛りあがることを意図して協力されていることを紹介、このような商品についても農産物と同じく消費者に背景を知ってもらうことが大切、と述べられました。

12名の受講生はいずれも環境に関心が高く、3回の講義を通して熱心に質問が挙っていました。教員やゲスト講師に直接疑問を投げかけ、話題や関心がさらに深まっており、有意義な講座となりました。
ゲスト講師の喜多社長、ご参加の皆様に御礼申し上げます。

研究会の活動は以下のリンクにまとめています。
また本ウェブサイトにて開催告知などを行いますので、ご関心あるものにぜひご参加ください。
生きもの豊かな農村づくり研究会
http://coc-biwako.net/ikimono-nosonkenkyukai.html