近江地域学会総会・研究交流大会(2016.8.11) 分科会の開催報告

2016年8月11日(木祝)滋賀県立大学A2-202教室において、大学COC事業の一環として設立した「近江地域学会」の第3回通常総会とともに研究交流大会を開催しました。
当日は、地域活性化センター理事長 椎川 忍氏からの基調講演の他、3つの分科会に分かれた研究発表、パネルディスカッションを行いました。
県内各地から地域づくりにご関心高い101名の方にご参加いただきました。

「近江地域学会」についてはこちらのページをご覧ください。

近江地域学会 総会
研究交流大会「地域づくり・人づくり・仕事づくり」

日 程:2016年8月11日(木祝)(総会9:30~)10:10〜16:30
場 所:滋賀県立大学 A2-202ほか(滋賀県彦根市八坂町2500)
参加者:101名
主 催:近江地域学会、滋賀県立大学
共 催:彦根市、長浜市、近江八幡市、東近江市、米原市、愛荘町、豊郷町、甲良町、多賀町、滋賀県

ここでは、午前中に開催したプログラム「研究発表・事例報告「地域からの報告」」について、各分科会の内容を報告します。

研究発表・事例報告「地域からの報告」

「地域からの報告」では、応募があった研究発表・事例報告について、分科会に分かれ、各3テーマの発表を行いました。

分科会(1) 地域資源を活かした地域活性化

  1. 福野 憲二(今郷好日会)
    甲賀市今郷区の滋賀県近隣景観形成協定締結に至るまちづくり活動事例報告
  2. 宮永 幸則(合同会社地域資源総合研究所・代表社員)
    地産地消の仕組みで地域農業を元気にする!―甲良丼・自給率100%どんぶりを活用したまちおこし―
  3. 伊賀並 正信(みんなの家EH)
    米原市上板並集落の取り組み

モデレーター:上田 洋平(滋賀県立大学地域共生センター助教)

分科会1では、「地域資源を活かした地域活性化」をテーマに、3件の事例報告に続き、質疑・意見交換が行われました。
1件目は、福野憲二氏(今郷好日会)による「甲賀市今郷区の滋賀県近隣景観形成協定締結に至るまちづくり活動」についての事例報告でした。報告では、花火鉢による街道美化活動に始まった小さな区民活動が、甲賀市との協働事業としてのまちづくり活動に展開し、さらには「滋賀県近隣景観形成協定」の締結に向けた取組などに発展してきた経緯について紹介されました。

2件目は、宮永幸則氏(合同会社地域資源総合研究所・代表社員)による「地産地消の仕組みで地域農業を元気にする! -甲良丼・自給率100%どんぶりを活用したまちおこし 」についての事例報告でした。報告では、甲良町産の食材を使って地域課題の解決を目指す「ソーシャル丼」としての開発に向けた取組状況や今後の展開について発表されました。

3件目は、伊賀並正信氏(みんなの家EH)による「みんなの家EH ~米原市上板並集落の取り組み」についての事例報告でした。報告では、「地域の隠れた資産」と「小商い」をキーワードに、配色サービス、災害食づくり、薪の製造・販売などで地域課題の解決に挑む「コミュニティ・ビジネス」への取り組みについて、事例を交えながら紹介されました。

報告後の質疑・意見交換の中で、若者とのつながりをどう創っていくかが話題となりましたが、発表者からは、地道な取組を継続することでつながりの輪が大きくなること、若者の特性を踏まえフェイスブックなどを通じた情報発信が大切である などの発言がありました。

最後に、モデレーターの上田洋平(本学地域共生センター・助教)より、人口減少に伴い地域で「生き延びる」ことが再び共通の目的となりつつある中、あらゆる地域資源をつなぎ合わせ、地域の「活性化」というよりむしろ「文化再生」を目指すことが大切であること、そのためにも、「食べ物」に価値を付加して「食事」にするといった「モノ」から「コト」への視点を大切にしつつ、「ビジネス」から「ブジ(無事)ネス」への転換を進めることが今後ますます重要になってくると指摘し、分科会を締め括りました。
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分科会(2) 地域資源を活かした人材育成

  1. NPO法人環人ネット
    ふるさと深いい学び塾(滋賀県「美の滋賀」創造事業採択事業)
  2. 辻 博子(一般社団法人滋賀グリーン購入ネットワーク 事務局長)
    「地域エネルギー研究会」活動報告
    ~再生可能エネルギー活用による地域づくりの事例研究~
  3. 三輪 直之(米原市地域振興課 主査)
    「地域診断法」の実践が地域の将来に対する思考と行動に与える影響
    (平成27年度滋賀県立大学公募型地域課題研究)

モデレーター:田中 光一(NPO法人環人ネット)

①「ふるさと 深いぃ学び塾:滋賀県 地域の元気創造・暮らしアート事業」について、辻村琴美氏(特定非営利活動法人コミュニティ・アーキテクトネットワーク)より、②「『地域エネルギー研究会』活動報告~再生可能エネルギー活用による地域づくりの事例研究~」について、辻博子氏(一般社団法人滋賀グリーン購入ネットワーク)より、③「『地域診断法』の実践が地域の将来に対する思考と行動に与える影響(※平成27年度公募型地域課題研究)」について、三輪直之氏(米原市役所地域振興部地域振興課)より報告がありました。

①は県内の各地域にスポットをあて、見て、聞いて、触れて、食べて、滋賀の「深いぃ
美」を五感で学ぶ連続講座を開催し、地域の魅力を発信できる人材を育てていこうという取組みで、成果をユーチューブで配信するなど、発信の仕方にも工夫しています。② は滋賀GPN関係者の発案から真庭バイオマスツアーを開催し、それを機に昨年7月、研究会が発足。以降、2ヶ月に1回程度、「地域エネルギー」をテーマに勉強会や見学会を開催し、各地域で自主的に活動するリーダーの輩出、そのための情報交換の場づくりを目指して活動しています。③は自治会からの申請により市職員を派遣する米原市の『地域担当職員制度』をベースとして、モデル自治会での地域診断ワークショップによる地域ビジョンづくりの試みと人材育成についてです。

これらに対して、参加者の状況や事業の波及効果等の質問があり、外から人が訪れることによって、新たに地域の女性グループが誕生するという嬉しい報告や、滋賀県での再生可能エネルギー普及の可能性について、自治体職員と地域との関わり等についてコメントがありました。

またモデレーターの田中光一氏(特定非営利活動法人コミュニティ・アーキテクトネットワーク)から、人材育成のしくみについて共通の問いかけがあり、「人が集う場をつくる。楽しく人を集めること。そこから生み出す」(辻氏)。「行政職員と違って一般の人がまちづくりに継続して関わる余裕はない。巻き込むことが難しいので、継続できる人材は保障できない」(辻村氏)。「継続できる組織が必要。自治会以外にまちづくり協議会などのしくみが必要」(三輪氏)との応答がありました。最後に、地域を見つめ直し、そこに住んでいる人の生き方を変えていく。ゆるやかなネットワークをつくりながら、人づくり、持続可能な地域づくりを進めることが共通することとして確認されました。
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分科会(3) 空き家利用・リノベーションによる地域活性化(COC公募型地域課題研究報告会(彦根市))

  1. 川井 操(滋賀県立大学環境科学部環境建築デザイン学科 助教)
    彦根市・琵琶湖湖岸エリアの空き店舗改修による地域拠点の創出に関する実践的研究
    (平成27年度滋賀県立大学公募型地域課題研究)
  2. 永井 拓生(滋賀県立大学環境科学部環境建築デザイン学科 助教)
    八坂町プロジェクト-空き家の学生シェアハウスへの再生活用
    (平成27年度滋賀県立大学公募型地域課題研究)
  3. 小島 なぎさ(一般社団法人まちづくり石寺 理事・事務局)
    彦根市下石寺集落の取り組み

モデレーター:鵜飼 修(滋賀県立大学地域共生センター 准教授)

分科会3では、「空き家利用・リノベーションによる地域活性化(COC公募型地域課題研究報告会(彦根市))」というテーマで2件の公募型地域課題研究の報告会と1件の地域活動の報告がなされ、空き家という地域資源を用いた地域活性化事例の具体的な報告を通して、改修過程、改修前後の地域との関わり方、活用の仕方についての議論が展開されました。

1件目の報告は川井操氏(滋賀県立大学学環境科学部助教)による、「彦根市・琵琶湖湖岸エリアの空き店舗改修による地域拠点の創出に関する実践的研究(※平成27年度公募型地域課題研究)」でした。コンビニの跡地を「VOID A PART」という地域拠点として運営者でもある連携研究員と意思疎通を図りながら改修を行う過程と、完成した「VOID A PART」の活用状況が報告されました。改修コンセプトである「マッシュアップ(混ぜ合わせる)」という概念がまちづくりの諸活動においてのキーワードとなり得ることが示唆されました。

2件目の報告は永井拓生氏(滋賀県立大学環境科学部助教)と学生による、「八坂町プロジェクト-空き家の学生シェアハウスへの再生活用(※平成27年度公募型地域課題研究)」でした。近年空き家が目立つ八坂町の空き家の一軒を、ハード面では構造を重視し、ソフト面では地域との関わりを重視した、学生用シェアハウスとして改修する研究活動について報告されました。一連の取組みは、地域との関係構築の重要性に着目しながら現在も展開されています。

3件目は、小島なぎさ氏(一般社団法人まちづくり石寺 理事・事務局)から「彦根市下石寺集落の取り組み」についての事例報告でした。空き家を改修した「コミュニティスペース ほほえみハウス」を拠点とした一般社団法人まちづくり石寺の運営体制や取り組み、学生シェアハウス「エコ民家」のコンセプトについての報告でした。この事例報告により、改修した空き家の活用の仕組みと地域住民との関わり方のノウハウを共有できました。

その後の意見交換と総括では、空き家を持つ自治体との連携の仕方や、主体となる学生の意欲や4年という短い学生生活の中で継続して地域にコミットする体制作りの必要性について意見が交わされました。
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分科会報告

それぞれの分科会の成果はパネルディスカッション冒頭で各モデレーターから会場へ報告・共有を行いました。特に、キーワードとなった言葉や、重要と思われるポイントを2つ挙げパネルディスカッションでの議論へとつなげました。
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近江地域学会総会・研究交流大会の開催内容は下記のページにて報告しています。
近江地域学会総会・研究交流大会(2016.8.11) を開催しました
http://coc-biwako.net/archives/2657.html