多賀町「公募型地域課題研究」の紹介とその後の展開

平成26年度、多賀町の地域課題に対して1件の「公募型地域課題研究」が実施されました。本学環境科学部教授 高田豊文先生が研究代表者として「公共施設の計画を核とした住民協働型「木造まちづくり」の実践」に取り組みました。

多賀町の山林面積は、全体の約85%と大きな割合を占めています。戦後造林された人工林は、現在資源として利用可能な時期ですが、木材価格の下落や森林管理の難しさから循環活用ができない現状があります。そのため、多賀町では、平成24年度に「公共建築物等における地域産木材の利用方針」を定め、間伐材の利用促進や町産材を用いた施設整備など、積極的な木材の活用を推進しています。

そこで、老朽化や耐震性の問題等で建て替えが検討されている多賀町中央公民館を題材として、木造・木質化および地域の意見を反映した基本構想立案を議論するための材料となる研究が行われました。

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研究ではまず、環境建築デザイン学科の授業「設計演習Ⅱ」と連携し、新しい公民館整備の設計案として学生により19作品が製作されました。それをもとに、「多賀町中央公民館整備検討委員会」の委員、町長、町職員らとともに討議を行い、投票により3つの設計案が選出されました。その後この3案は、地域の意見交換を通じて公民館に必要な機能を具体的な所室に落とし込む作業に役立てられました。

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この他、町のシビックプライド(町への愛着や誇り)を明らかにするためのアンケート調査が15歳以上の町民を対象に実施され、326人の回答が得られました。また、「多賀町中央公民館整備検討委員会」において、多賀町で見る・聞く・触れる・味わう・香ることを体験する「こと」「とき」「空間」について意見を聴取し、その共通項を探って行きました。その結果、緑豊かな山、生き物のいる清流、美しい四季などの視点が抽出され、町民が持つこれらの愛着をデザインコードとして施設に取り入れることも検討されました。

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地域と大学が連携することで生まれたこれらの成果は、その後実施された新しい多賀町中央公民館のコンペティションにも反映され、建て替えに向けて着々と歩みを進めています。さらに、平成27年度の「多賀町森林資源循環システム構築に関するワーキンググループ」においては、本研究に取り組んだ学生の一人である環境科学研究科大学院生の橋本菜都美さんが、研究代表者の高田先生とともに参画し、引き続き地域課題に取り組んでおり、メンバーの意見を図表にしながら議論の整理を行っています。橋本さんは「研究を通じて、多賀町にさらに関心と愛着を持ちました。地域住民のみなさんの議論の助けになるよう努めたいです。」と話していました。

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通常、一般大学の設計演習課題では仮想建物の設計を行います。それに対し本研究では、実際の公共施設の設計計画を課題としました。そのため学生は、地域課題を具体的かつ身近な問題としてとらえ、自発的に取り組む姿勢を持つことができました。このような成果は、アクティブ・ラーニングならではと言えるでしょう。大学COC事業では、引き続き本研究のますますの発展と、学生の活躍を応援して行きたいと考えています。

⚫︎研究タイトル
 公共施設の計画を核とした住民協働型「木造まちづくり」の実践
●研究体制
・研究代表者
 高田豊文(滋賀県立大学環境科学部 教授)
・地域連携研究員
 大岡秀行氏(多賀町企画課)
 谷川嘉崇氏(多賀町生涯学習課)
・研究分担者
 松岡拓公雄(滋賀県立大学環境科学部 教授)
⚫︎研究概要
滋賀・地(知)のデータベース」よりご覧ください。